博士課程に進むときに考えたと思われること、今思うこと
前置き
知人によるハートフルな記事を読んで自分も何か書こうと思う。多分、ssとかhimktとかも書くでしょう(雑なフリ)。
筑波大学のklis/slisを卒業して2018年4月から千葉にある本籍が東京の大学の博士後期課程にいます。
就活に関して
自分は ハートフルな記事の彼
とは違って、B4の時点で進むことは決めてて就活を一切していない。ただし、インターンは過去に3社お世話になった。ちなみに申し込んだ総数は14回。なんならいまも研究系のインターンを探している。
進学した理由は?
- 研究者になりたいから
- 頭がよくなりたいから
- 海外インターンしたいから
- なんかみんなDをもってるから
- 働いてる姿が想像できなかったから
- 交際相手とかもいないし、誰にも迷惑をかけないから
- B1のときの筑波大のD学生:図情の min2flyさん、ceekzさん、TGNの院生方がかっこよくてそれで漠然と進学したいと思ったから
- 喜嶋先生の静かな世界 を読んだため
M2の受験時期に私がDをとれそうだという根拠となるような業績は論文の形としては一切持っていなかった。特に現所属でそう思うようになった。にもかかわらず、私がしたのは、D進したいと思ったらすればいいと思っているためと、途中でやめても(職や収入的な意味で)なんとかなりそうな保険(自分の場合はコーディング)があったため。保険を気にしなくてもとれると思える人には関係ないし、人によっては背水の陣的な考えもあると思う。
お金問題
- 指導教員が給料を払ってくれるかどうか
- 進学先(今いる方)の教員が、RAでDC1並みの給与は補助できると言ってくれた
- RAは研究室の予算がたくさんあるとか、大学の制度とか、教員の肩書きとか運で決まる節があるので、気をつけたほうがいい
- 研究科がこの手のものを提供している場合があるけど、前所属のslisだと研究科のRAがあるが、生活には足りない額だった
- DC1
- 自分はとれてしまった
- ただ振り返るとこのために最適化して国内会議とか和文論文誌を出していたので、逆に今けっこうしんどい
- 「基礎なさすぎてこれ3年で卒業できるのかな…?いや、でも、とれないとやばくね…?しかし…」
- 政府の教育ローン(学生支援機構のローン)
- DCだめだったら最高額でとってた気がする
- B1から借りているが、この手の借金に関しては増えてもプレッシャになってない
B4時点で人間関係の都合もあり、社会人Dをするか迷うときもあった。結局、自由に使える時間が欲しかったこともあってフルタイムでの学生を選んだ。ついでにその人間関係も終わったのもあって(もともと数本しかなかったが)後ろ髪を引かれることもなかった。一方でリスキーな気もしているが、何社かでインターンできたし、なんとかなるかなって甘い気持ちを持っている。
もしもの話をするなら、今は特に、機械学習(いわゆる ““AI”” )分野はバブルで就職してたらといい生活できたかもしれない。就職した知り合いの収入とかは当然だけど自分よりはるかに多いし、企業によっては雑務もなくて計算機資源・予算もちゃんとしててチームがあって…。そういうところに自分ができたかは置いておいて。
研究室・大学関係
いろいろ思うところがあってDから研究室を変えた。(Dからは変えない方がいいみたいな話はたまにTwitterとかでされているが、そういう研究室は避ける。)このためテーマも変わった。今の所変えてよかったと思っている。ちなみに前はNLP/データマイニングっぽいところで、最近は汎化誤差を上から抑えている。
変えた大きな理由は2つで、
- 機械学習系の理論的なことがやりたいこと
- 前の研究室・研究科だといろんな理由から取るのが難しそうなこと
2.
の理由としては
- 先輩がいなかった
- 研究室の雰囲気が「国際会議に投稿しよう」という感じではなかった
- D進してる学生がいない
これらは特に指導教員が忙しい場合は大事だと思う。それ以外の雑多な理由としては
- 政治的な理由からか狭い部屋に押し込められていたなど扱いが不満だった
- 研究室が人口に対して狭い => 偉い人に先生が頼むが、「研究科として部屋が足りてない」ため却下される => 現代の魔法使い先生が着任すると魔法を使われたのか不思議なことに学生部屋が生成され、彼らに割り当てられる
- 他研の学生から「その辺の機械学習ラボより計算機資源も知見もある」と言われる(
その辺の機械学習ラボ
が指すのが自分の前所属)
- 文系的な文化
- 半分くらいは文系の研究科だった
- 自分のやりたい分野ほど論文を書く雰囲気がない
- 審査の主査副査の問題(教授クラスでないと審査に入れない)
- D進を前提にしない学生が大多数だと、学生がいるうちにとりあえずたくさん研究成果を出してもらうのが教員的には嬉しい気がしていて、2年くらいで1つちゃんとしたところに出すみたいなことになりにくい気がしてる。それはそれで、あとあと基礎的なところが辛いなと思っている(たすけてくれ)
- 食堂
- 値段に対して不味すぎる
- 昼しかやってない
そうでも無くなりました。 もちろんいいところもあって、例えば、学食以外の飲食店は圧倒的に前所属周辺のほうがいい。
nzwさん、1年ぶりにフィンラガンに来て何度も「柏に帰りたくない…」と言いながら帰宅していった…
— shopetan (@ss_shopetan) December 19, 2018
あと指導教員がほぼ大学にいたため、いつでもふらっと相談に行けた。変えた先でも思うところはあるし、どこにいっても悩みは(自分の性格からして)尽きない(後述)。
卒業したあと
就職。ただし、国内アカデミア・国内の伝統的な企業以外。
家族
- 修士に進む時にと止められた
- 学会で賞をとったら態度が変わった
- あとそのくらいの時期から全部自分で払うようにした
- 両親・祖父母は高卒ないし中卒で大学のことをほぼ知らない
- このこともあって、説明するのが面倒なので、「パソコン系のことをやっている」と言っている
- 2018年から祖父が私のことを「コンピュータ」と呼び出した
楽しいこと
- 自分のできないことができるようになること
- 英語でそれらしいことが書けるとかスキル的なこと、コーディングとか
- 研究で考えること
- 考えている最中はだいぶしんどいですが…
厳しいこと
- 研究ができない・論文が通らないこと
- そもそも通りそうな論文を投稿する段階に至れない
- メイン会議の Notification の日に自分だけ何もないことを再認識し、死にたくなる
その他
雑多に思ったことを列挙します。
他の人とあんまり比べないこと
すごい人たちを見るとキリがないし、主要会議の採択通知の日になると多くの人が論文が通っているのが目に入ってしまい、それに比べて私はゴミだとかまぁそれはそれは頻繁に思うわけですが、落ち込んでも彼らのようにはならないので、あんまり気にしないようにする。
研究室以外での息抜きを作る
私の場合、研究室/学会にだけいると世の中は何かしらのバウンドなり、理論解析なり、すごいアルゴリズムを作ってる人たちしかいないように思ってしまう。どこかに出かけるとか、全然関係ないコミュニティの人に会うのは気分転換的に大事かなと思っている。
研究テーマに関しても、統計であったり脳科学の概念であったりツールを持ってくることで研究のインスピレーションを得ている論文を見ることがあります。例えばICMLに通っている自分の専門トピックだけを読んでいる(exploitation?)とこういう発想は出てきにくい気がしているので、exploration的なこともなんとなく意識しています。
偏った主観の話は無視すること
Twitterとかで見かける教員・学生による、(意図してるか知らないけど)不安を煽るような言動(「研究者/博士学生はかくあるべき」とか「こういう学生は向いてない」みたいなもの)を無視すること。生存バイアスだと思う。たいてい自分は当てはまってない/悪い方に当てはまってる。実は、彼らの言う通り、私は向いてなくて大学をやめたほうがいいかもしれない。
研究関係について相談できる人を見つけておく
雑なこととかでも相談できるとよいと思う。例えば、
- Python/LaTeXでこうしたい
- こういう証明がしたい
など。
関連ポスト
最後に、いろんな人がこの手の話題のことを書いてるのでリンクをいくつか貼って、終わりとします。
- 博士課程に進むときに考えたこと by Makky さん
- ソフトウェアエンジニアとして就職する時に考えたこと by ss さん
- 高専から大学編入をして修士に進学し博士に進学した理由 by elnikkis さん
昔読んだ記事